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2011年10月26日 (水)

公務員が激務であることの意味

 前回の記事、及び「反貧困世直し大集会2011 公務員も民間の社員も連帯せよ!」にも書きましたが、この社会にはびこる異常な労働環境を改善するためには、立場の異なる労働者が連帯することが不可欠であると私は考えています。この記事では、その重要性を公務員にスポットを当てて考えてみたいと思います。

 昨今の財政難を背景にメディアが盛んに公務員の厚い待遇をやり玉に上げ、節税の名の下に公務員叩きを繰り広げるなか、公務員と民間企業の社員との溝は深まるばかりです。しかし、私は公務員の待遇の向上はすべての労働者の地位の向上につながると考えています。その根拠は以下の3つです。

1.公務員の勤務形態がすべての業種の勤務形態のひな型となる
2.労働市場の審判員の増員が、労使関係の正常化を促す
3.教育に関わる職員を増員し、権利教育の充実を図る

 まず1つ目の根拠についてですが、これは政府がこの国の労働環境の正常化にそれほど真剣に取り組もうとしているかを示す一つの指標になります。国家公務員に限って言えば、政府と職員は労使関係にあたります。その関係を政府自体が正常に結んでいないのであれば、当然外部(民間)の労使関係の正常化への意欲など望むべくもありません(もともと意欲云々の問題ではなく権利の保護は政府の義務ですが…)。では、現在の公的な労使関係はどうなっているかと言えば、とても正常なものとは言えません。官製ワーキングプアという言葉が示す通り、非正規公務員は人件費削減の口実として枠を増やしていますし、厚生省に勤める職員は過労死ラインを超える長時間勤務に耐えています。これがどれほど異常なことかおわかりいただけるでしょうか。本来であれば率先垂範で正常な労使関係を実現すべき政府がこのような状態では、民間の労働者の権利に目が向けられることはないでしょう。官製ワーキングプアについて詳しく知りたいという方はこちらのブログをご覧ください。「官製ワーキングプア - 違法だらけの職場で非正規は正規公務員の5分の1以下の年収

 ただ、公務員叩きの際にイメージされるのは、態度ばかり大きく能率的に仕事をしない、いわゆる「お役所仕事」と呼ばれる態度で働く公務員でしょう。そういった職員が存在することは否定できませんし、公的サービスの質や財政面を考慮すればそういった職員が批判の対象になるのは当然のことでしょう。公務員に関しても、解雇規定をきっちりと定め、雇用の流動化を図るのがよいというのが私の個人的な考えです。(一部のダメな職員のために真面目に働いている多くの職員までバッシングの対象になるなんて…。真面目に働いている職員はああいう公務員にもっと腹を立てるべきだ!)

 2つ目の根拠についてですが、現在、労働環境の正常化に重要な役割を果たすであろう厚生労働省及び労働基準監督署の職員数が不足しているという問題が生じています。労基署に関しては、現在の職員数ではすべての事業所を回るのに25年かかるそうです。これでは、労働基準法違反が野放しになるのは当然でしょう。労基署が相談にスムーズに対応し、また相談への抵抗感を軽減する施策を模索する素地を整えるためにも、労基署職員の職員数の増員や待遇の向上は有効な手段となるでしょう。彼らの人件費は、民間企業に勤める社員にとっては、自身の労働環境を守るための必要経費となるわけです。

 3つ目の根拠についてですが、これは現在の教育課程において、労働者の権利の実態について触れることがほとんどないことを問題としています。私の記憶をたどってみても、労働者の権利について学校で学んだことと言えば、労働三権について漠然と記憶しているくらいであり、具体的な法律の効力などは労働問題に関心を持つまで知りませんでした。実際、POSSEに相談を寄せる人の多くが労働者の権利や法律に関する知識をほとんど持っていないという話を聞きました。現在の労働環境の問題は労働者の権利意識の低さに起因することが多く、労働者自身がそういった知識を身に付けることがこの問題を解消する上で重要なポイントになると私は考えています。そういった権利教育の重要性にいち早く気づき、実践に向けて動いているNPOもあるようです。そんなNPOの一つ、あったかサポートの著書を紹介しておきます。
 『働く前に知っておきたい基礎知識

 また、教育にかける予算をケチることは、後々のコストを大きくすることにもつながります。極々単純化した例を挙げるとすれば、教育の質の低下が治安の悪化につながり、警察官及び刑務所職員の増員、被害者の公的支援といった形でより大きなコストとなる可能性もあるのです。警察官が多く必要な社会より、より予防的な方策に力を注ぐ社会の方がよほど暮らしやすいのではないでしょうか。

 今回の記事は全労働省労働組合(労働行政に携わる職員の労働組合―以下「全労働」)の活動方針に多くの部分で沿っています。全労働は労働環境の正常化のカギとなる機関となるのではないでしょうか。私は今後、全労働の活動を見守り、支援していくつもりです。

全労働とは

関連記事 政府の公務員給与削減提案に対する全労働の考え方 また、厚生労働省は11月1日から「労働時間適正化キャンペーン」を実施します。メールでの情報提供を受け付けるそうですが、期間を一ヶ月に限らず継続的に行ってほしいものです。

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