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2013年1月 2日 (水)

「国内フェアトレード」のススメ

 明けましておめでとうございます。新年1つ目の記事となります。

 さて、いきなりですがフェアトレードという言葉をご存知でしょうか。日本でフェアトレードの普及を目指すNPO法人フェアレード・ラベル・ジャパンのウェブサイトには以下のような説明が載っています。

フェアトレードとは直訳すると「公平な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。

わざわざ「フェア」であることを標榜する背景として、公正でない貿易が行われているという現実があります。例えば、発展途上国における児童労働であるとか、危険な農薬を使用することで生じる健康被害や環境破壊など、貧困に起因する様々な問題が現在においても多く残っています。それを解決する手段として、流通や生産の仕組みを末端の生産者にも適正な利益が回るように設計しようというのがフェアトレードという取り組みです。(フェアトレードが必要とされる背景については、フェアレード・ラベル・ジャパンのウェブサイトにさらに詳しい解説があります。)

 このフェアトレードの市場規模ですが、日本国内においては2008年までは年間30~50%世界においては10~30%の成長率で拡大を続けてきました。フェアトレードというものの認知度の高まりと、その意義の理解が進んできた結果といえるでしょう。多くの場合、フェアトレードの商品は他の商品に比べて価格が高くなっています。生産者に適正な賃金を保障するという目的のために、どうしても価格を高く設定せざるを得ません。それでもフェアトレードの商品を選ぶ人が増えているのは、自身の買い物が世界中の人々の生活の質に与える影響についての理解が広まっているということでしょう。貧困問題の解決の手段としては寄付などの資金援助もありますが、寄付ではそれに依存し続けなければならないのに対し、フェアトレードではビジネスの形態を採ることで生産者が自立的に働くことが可能になります。CSRの普及についても言えることですが、私たち一人一人が消費市民としての責任を負っているという事実について、私たちはもっともっと学ぶ必要があるでしょう。というのも、拡大を続けているとはいえ、国民一人あたりの売上高を比較すると、先進国の中でかなり低いのです(2011年フェアトレード認証商品の市場規模と国民一人あたりの売上高)。

 このフェアトレードですが、一般的には先進国から途上国への経済支援の一環とみなされています。今回の記事のタイトルである「国内フェアトレード」とは、フェアトレードの理念に基づいて、国内の企業のうち、労働者を適切に扱っている企業を消費者の立場から応援しようという運動です。なぜこのような運動が必要かといえば、現在の日本社会において、企業が労働基準法を遵守し労働者を適切に扱うインセンティブがほとんどないのです。まず残業代ですが、基本的には25%増し、月60時間を超えてやっと50%増しという低い水準になっています。国際水準では初めから50%増しという国が多いのです。休日出勤も35%の割増賃金を払えばすみますし、なんと休日出勤には8時間の労働時間の規制が適応されず、たとえ8時間を超えて働いても25%の割増はないというから驚きです。そして、ブラック企業の問題を語る上で避けて通れない話題ですが、そもそも残業代を払わない企業が多く存在するという事実があります。サービス残業とかなんとか呼ばれるものですが、その実賃金未払いという違法行為です。それが公然と見過ごされる(私たちが見過ごしているというべきですね)のが現在の日本社会です。残業代が法律でいくらに設定されていようとも、サービス残業という風習がある以上は関係ありません。そのうえ、日本は1日の労働時間を8時間以下と定めたILO1号条約にも批准していません。企業は審判のいない競技に参加しているようなもので、その背景には厚生労働省職員や労働基準監督官の圧倒的な不足という問題があります。いわば、この国のディーセントワークは良識ある経営者の善意によって成り立っているという時代錯誤も甚だしい状況にあるのです

 本来であればこれらの問題は、行政の手によって公的に解決するのが筋でしょう。しかし、その実現が見込めないのであれば、それを市民の手で自治的に作り上げるという手段があります。労働者を適切に扱う公的なインセンティブが無いのであれば、私たちで作りましょう。ブラック企業という言葉が広く知られるようになって久しいですが、この国にも雇用や賃金をめぐる様々な不正があり、過労死に代表される労働問題が深刻な社会問題となっています。途上国の抱える問題と比べて規模は小さいかも知れませんが、問題構造は類似点が多くあると言えるでしょう。というわけで、ここに「国内フェアトレード」を提唱したいと思います。というところまで考えて、大きな問題にぶち当たりました。そもそも、労働者を適切に扱っている企業はどこなのか、私を含め多くの消費者はわからないのです。ここで「ホワイトアクション事例集」の登場です。もともとは求職者が安心して働くことのできる職場を選び取るためのサービスとして考えたホワイトアクション事例集ですが、そのような情報提供としての役割も期待できるではありませんか。そんなわけで、ホワイトアクション事例集の実現に向けて今後も尽力していきますので、今後とも応援いただけるのと光栄です。そして、ブラック企業の問題の解決のために、誰もが消費者の立場で貢献できるという事実についてもご一考いただければ幸いです。

 途中で紹介した残業代やILO条約についての情報は、和光大学教授の竹信三恵子先生の著書『しあわせに働ける社会へ』から得ました。日本の労働問題の本質を明らかにする素晴らしい著書ですので、一読をお勧めします。また、竹信三恵子先生の登壇したシンポジウム「雇用崩壊とジェンダー」についての記事もどうぞ一読お願いします。

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