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2013年7月24日 (水)

問題を解決するのに最も有効な方法はインセンティブを作ること

 7月21日は参議院選挙投票日でした。投票率の低さを問題とする声は以前からいたるところから聞こえますが、その具体的な解決策は見えていません。そんななか、投票日の直前、こんなツイートを見かけました。

https://twitter.com/ynabe39/status/358715839320571904
選挙に来てほしいなら投票所で景品でも配ればいいと思う。「そういう問題じゃない」とすればどういう問題なのか。

https://twitter.com/ynabe39/status/358721018635890689
「投票に景品を与える」というと「バカバカしい」と思って「投票しないことに罰則を設ける」というと「バカバカしい」と思わないのはなぜか。どちらも同じことで,かつ心理学的には明らかに「景品を与える」ほうが優れた方法であるのに。

https://twitter.com/ynabe39/status/358723449830649856
ようするに「投票に行かないやつが気に入らないから罰を与えたい」という議論ばかりで「どうしたら投票率を上げられるか」を本気で考える人は少ないんだろうなあ。

https://twitter.com/ynabe39/status/358724050165563392
投票率の問題については「投票に行かない人の状況や気持ち」から議論を立ち上げないといけないのに,その問題に興味をもつのは主に「投票に行っている人」だから「自分と違うけしからん人間を処罰する」という発想にしかならないのだろう。

https://twitter.com/ynabe39/status/358726245388779520
「するのが当たり前のことには報酬を与える必要はない,報酬を与えてはいけない」というのはわりと広く共有されている常識だが,心理学者的には間違っていると思う。

https://twitter.com/ynabe39/status/358726683290906624
「当たり前のことをしてくれない人」が現にいるときには,その人に罰を与えるより「当たり前のことに報酬を与える」ことのほうが効果的である場合が多い。

私はこれまでツイッターで社会問題に対するアプローチの仕方についていろいろ述べてきました。いろいろ考えた結果、端的にまとめると以下のようになります。

・問題の原因や構造を明らかにする活動と、それを解決するための活動は質が異なる
・前者に取り組む人は多いが、後者に取り組む人は少ない
・後者には、アイディアを行動に移す際に生じる結果に責任を負わなければならない
・後者により問題を解決しなければ、前者による分析がどんなに優れていても意味がない

投票率の低さに限らずこの日本社会には様々な問題がありますが、問題の原因究明や構造分析は盛んに行われていても、その解決の具体的な方法を提案するところまではなかなか進まないようです。しかし、いつまでも手をこまねいているわけにもいきません。何か解決策を考え、行動に移さなければなりません。私もいろいろ考えたり意見を伺ったりしてきた結果、あらゆる問題の解決に共通するポイントがあるのではないかという考えに至りました。それは「問題に関係する人たちが問題を解決するように行動するインセンティブを作る」ということです。インセンティブとは、組織や人に対して行動を促す動機づけのことです。もっと砕いた感じで言うと「解決するように行動すると得をする仕組みを作る」ということになります。

 ここまで読んで、「そりゃそうだ。人間得するように行動するんだから、そういう仕組みを作ればいいに決まってる」と思った人もいれば「そんなのおかしい。特定の人だけが得をするのは不公平だし、得とか損とか関係なく問題を解決できる立場にいるなら解決するべきだ」と思った人もいるでしょう。おそらく、真面目な人であるほど後の感想を抱いたのではないでしょうか。それは、問題の原因や構造を明らかにするアプローチは「正しさ」を出発点とした活動であるということによるのでしょう。それに対し、解決のための具体策を考えるアプローチは、眼の前の「問題」そのものからスタートする活動です。無理が通れば道理が引っ込むとはよく言ったものですが、問題が起こっているということは、すでに道理は引っ込んでいるのです。論理的な正しさを説くことで解決するようなものなら、そもそも問題として認識されることもないのでしょう。非常に口惜しいことですが、私たちは、すべての人が道徳的に正しく生きられるわけではないことも、正しさだけを拠り所に生きることがとても困難であることも、経験的に知っています。であれば、正しさとは違った観点から具体的な解決策を導き出す必要があることも、抵抗を抱きつつも理解できるのではないでしょうか。

 冒頭で紹介した投票率を上げるために「投票に来た人に景品を与える」というアイディアは、「問題に関係する人たちが問題を解決するように行動するインセンティブを作る」という活動の例として非常にわかりやすいものだと思います。本来なら景品などなくとも投票には行くべきですが、それでも投票に行かない人が多くいるのが現実です。「自分の意見が政策に反映される」というインセンティブが選挙にはもともと備わっているのですが、それは自分が支持する候補が当選した場合に限られますし、その構造が見えにくいのが難点です。投票率を上げるには、「わざわざ休日の時間をわずかでも割いて投票所に足を運びたくなる」だけの魅力のあるインセンティブが必要なのでしょう(個人的にはただ投票率を上げればいいという問題ではなく、政策をじっくり吟味したうえで投票するところまでいかなければ不十分だと思っていますが、そのインセンティブを作るのはかなり困難だと言えるでしょう)。

 最近ではあまり騒がれなくなりましたが「イクメン」に対しても同じことが言えそうです。「イクメン」という言葉が流行りだした頃「これまで女性に育児や家事が押し付けられてきたことが問題なのであって、男性が育児や家事を負担するようになったことを特別視し、わざわざもてはやすのはおかしい」という批判の声も上がりました。この主張自体は筋の通ったものです。これまで低水準だった男性の育児参加が普通の水準に近づいただけのことで、普通のことをしている人を褒めるのは確かにおかしなことです。しかし、現実問題として家事や育児を行う男性を増やすために具体的に何ができるかと考えることは、それとはまた別の話です。それまで仕事ばかりに没頭していた夫が褒めることで家事や育児をやるのであれば、大いに褒めようじゃありませんか。掌の上で転がすような感じでいいではないですか。クラスでも優秀なあの子はこれまで1日2時間勉強していたのをさらに30分勉強時間を増やすというところ、一切勉強しなかったうちの子が15分でも勉強するようになったのなら、大げさなくらい褒めてあげましょう。それで望ましい結果が得られるのなら、もてはやし良い気分にさせてあげるのは無駄なことではないでしょう。

 もう1つ例を挙げましょう。よく「昔ワルかったやつが更正するとさも立派なことのように扱うけど、昔からずっと真面目だった人の方が偉いに決まってる」という不満もよく耳にします。これは非常によくわかります。本当にその通りです。その通りなのですが、もしかしたら、そうやって褒めそやすことでワルかった人が再び悪の道に走るのを防ぐことになるかもしれません。もしくは、昔からワルくて今もワルい人が「真面目に生きてみるのも良いかもな」と改心するきっかけになるかもしれません。それは、真面目な人が生きやすい社会を作ることに貢献しているということができるでしょう(ただ、更正したワルをもてはやすのは、真面目に生きるインセンティブを作ろうというより、単純に昔との比較で偉く見えてしまっているという動機による場合が多いのでしょう)。

 ここまで読んでも納得のいかない人もいるでしょう。「結局初めから真面目に正しく生きている人が損をするじゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、冒頭でツイートを紹介した渡邊芳之氏はこうも言っています。

https://twitter.com/ynabe39/status/358732858598244352
@meganelife もともと「道義的に自分の行動を制御して窃盗をしない人」も,そのことによって得るものがあったからそうしているのだと思います。行動の制御で得るものがなかったから窃盗をする人には外部的に「得るもの」を与えるということです。

つまり、初めから真面目に正しく生きていた人には、そうするだけのインセンティブがあったのではないか、ということです。もちろん、道徳心や自制心など、1人1人を見ていけば様々な違いはあります。それでも、社会的に望ましくない行動を取る人たちの人間性だけを問題にしても解決には至りません。問題の原因や構造を理解している人が、寛容さと謙虚さを持ち、地に足をつけて具体的に解決策を考えることが、問題の解決には一番の近道だと言えるでしょう。

 いろいろ理屈を捏ねて説明しましたが、インセンティブを作ることで問題を解決しようという動きは、ソーシャルビジネスという形で実現されています。社会貢献的な活動を継続するために収益性を持たせるという説明はよく耳にしますが、私は金銭的なインセンティブを持たせるという意味合いの方が大きいのではないかと考えています。たくさんお金が稼げるのであれば、優秀な人も活動に関わってくれるかもしれませんし、自分たちのやる気も上がります。活動を拡大するための資金を得ることにもつながります。ソーシャルビジネスでがっぽり稼ぐことは、社会貢献という観点からも高く評価されることなのです。というかビジネスはもともとそういうものだったのです。
 多くの社会問題は、問題の構造を指摘するフェイズは十分に行われていると私は感じています。それらを解決策を考えるフェイズにどう持っていくかに知恵を絞っていく必要があるのでしょう。

 もちろん「ホワイトアクション事例集」も企業が労働者を大切にするインセンティブを作ろうという発想によるものです。今後の展開を括目してお待ちいただければと思います。

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